エゴの防衛反応
※この記事は過去ブログでアップしたものを一部訂正したものです。(初稿2012年3月)
人は、一番変わらなければならないところをどうにかしなければならない地点に来た時、
無意識の中でそれを回避しようとします。
「エゴの防衛反応」というものです。
「エゴの生存本能」ともいえるかもしれません。
今までの自分を覆さなければならなくなった時に、現れる反応です。
2011年3月11日。
東日本大震災により、大地だけでなく私たちの魂そのものが大きく揺さぶられ、
垢を落として本来の姿になろうとする動きが加速されました。
その結果、
「自分が一番手放さなければならないもの」
を手放し、本質的に変容を遂げるために、
私たちそれぞれの内面で、何かが起こり始めました。
それは「自分が一番見たくないもの」であり、
「本当は変えてしまいたくないもの」が関係しています。
自分がそれを見つめられる「地点」まで進んでくることができなければ、それは起こりませんが、311の大震災、そしてその後に起きた色々な問題が1つのきっかけとなり、その地点まで進むように大きく背中を押された方が多くいらっしゃるのだと感じています。
起きていることは大変かもしれませんが、大きな目で見ればその変化はとても良い変化です。
そこを乗り越えてこそ、自分自身を本質的な意味で変化させることができるからです。
かつてそこを乗り越えようとした時に失敗して蓋を閉じてしまった経緯のある場合は、再び回復して来た時、ようやくそこを再度見られるようになり、そこで「再チャレンジ」がやってきます。
本当の意味で変化が必要な部分を見ることができていなかった場合には、
もう一度以前と同じパターンで「ガツン」とやられることもあります。
でもそこで「逆戻り」して元に戻ってしまったら、元の木阿弥です。
今度こそ、「本当は何が起きているのか」を見極め、
バランスの取れた位置で、自分がしっかりと立つ必要があります。
せっかくそのチャンスが来たのですから。。。
つまり、何かが起きた時、
自分ができるのは「自分の内面を見つめていくこと」でしかないのです。
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あなたが今困っていることは何でしょうか?
「今の問題」は何ですか?
そうに問われて、頭に浮かんだものは
残念ながら「本当の問題」ではありません。
もしも今、自分の中で「大きな波」に飲み込まれそうになっているのだとしたら、
少しそこから離れて全体を眺めてみてください。
外側で起きている現象そのものは、「本当の問題」ではありません。
それは単なる「結果」であり、
その原因はそこからは思いもつかないようなところに潜んでいます。
そう、まるで「何の関連性もない」かのように、見えるのです。
「まさかそんなところに」
と思うような部分であるからこそ、気づくことが難しく、
だからこそ目の前に起きている現象ばかりに気を取られてしまいます。
私たちは、本質的な問題から目をそらし、別のことに注目させて自分をごまかす「癖」を持っています。
私たちのエゴは、あたかもそれが問題であるかのように自分自身に思い込ませ、それが解決すれば自分は楽になる、良くなる、前に進める、と、
自分を「勘違い」させるのです。
でも、実際にはそれが問題なのではありません。
残念ながら、私たちは本当のことに何一つ気づいていないのです。
どんなに自分が進化したと思っていても、それは同じです。
自分にとって一番コアな部分に関する問題であればあるほど、私たちはそこを見ずに通り過ぎようとします。
それは、そこにこそ変容の鍵が隠されているからです。
そして私たちのエゴは、それを私たちに探し出して欲しくないのです。
それを取り戻してしまったら、今自分の中を支配しているエゴは消えなければならないからです。
エゴは消えたくありません。死にたくないのです。
だからこそ、気づかせないために、
全力で別の問題を「これが本当の問題だ」と主張し続けるのです。
でもそのエゴは、「本当の自分」ではありません。
ここで話している「エゴ」は、本来の自分を表現することを妨げている、
自己否定や自己欺瞞で創り出してしまった、自分の幻想です。
今、目の前に見えている景色は、
自分自身が創り出し、溜め込んでしまった、「負の感情」によって創り出されたものです。
いつからのものなのか、どれくらい深いものなのか、それは自分自身しか知りません。
でも、一番見たくなかった、一番認めたくなかったものだからこそ、それは深い深い部分で自分の中に潜んでいます。
そして思いもつかなかったような出来事を引き起こします。
その「からくり」に気づくことが出来た時、目の前の扉は大きく開かれます。
そして、そのような出来事を引き起こし続けてきた自分ではなく、
本来の自分を表現していこうと決めることができれば、
ゴールセッティングとバランス調整はとてもシンプルで効果的なものになっていくことでしょう。
今まで自分に起きていたことは、
そこに気づくために起きていたのだと、本当に心から納得できた時、
目の前にある全てのものに感謝をすることができるようになります。
心から感謝をすることが出来るようになった時、目の前の景色は一変すると言われています。
目の前の景色が一変するということは、自分の世界すべてが一変するということです。
今までとは全く違った自分を表現できるようになっていきます。
その時になってやっと、
「問題だと思っていたことは本当の問題ではなかった」
ことを納得することが出来るでしょう。
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こういうことは言葉で書くのは簡単ですが、実践していくのは簡単なことではありません。
エゴの防衛反応が起きた時が、ある意味本当のチャンスであるとも言えますが、
それがチャンスであるということや、
自分がせっかくそれを見つめられるところまで来たのに、元に戻ろうとしてしまっているということに気づくこと自体が難しいのが、人間なのです。
もしその山を越えられたなら、きっと今までとはまったく違う世界が広がっています。
自分が今までずっと自分自身にすり込んできてしまった、
「自分についての幻想」を手放せるからです。
だからこそ、日々常に自分を見つめなおしていくことが大事なのだと感じています。
「世界を、誰かを癒したかったら、自分を癒しなさい」という言葉が、それを物語っています。
目の前で起きていることは、自分の内面を映し出した、自分が創り出した幻想なのです。
私は「気づかせてあげる」とか、「癒してあげる」、ということはできません。
それは本来一人ひとりが自分でやるものです。
私ができるのは、そのきっかけを与えることだけです。
きっかけを与えるだけであっても、
穏やかなきっかけもあれば、険しいきっかけとなることもあります。
きっかけは現れても、それを十分に活かせない人もいます。
どうであれ、その人の魂が決めていることでもあるので、
そのシチュエーションを大切にしていきたいと感じています。
参考となる本を二冊、ご紹介しておきます。
目の前に起きている物事は、すべて「幻想」であり、
本当の問題を見ることが出来た時にこそ、
その全てが変わっていくということを、教えてくれる本です。
(1)『「ザ・マネーゲーム」から脱出する法』
ロバート・シャインフェルド 著
本田健 訳
(2)『『奇跡のコース』のワークを学ぶガイドブック』1~
香咲弥須子 著