パニックの原因となるもの
一昔前から比べると随分と増えた「パニック障害」。
クライアントもパニック障害の人は増えているなと感じています。
ある日突然発症する人もいれば、うつ病から発展していって発症する人など、
経緯も要因となっているストレスも様々ですが、
実は根本的な部分には一種の「共通点」があります。
それは「自分の気持ちに正直になれない」ということです。
パニック発作には、呼吸が辛くなる症状を伴います。
それは「吸えない、吐けない」と、「自分が思い込んでいる」状態です。
「呼吸ができない」と思い込み、動悸が激しくなる。
「行き場がない」「逃げ場がない」「このままでは死んでしまう」と思ってしまう。
呼吸とは「吸う(受け入れる)」ことであり、「吐く(内側から吐き出す)」ことです。
物理的には酸素と二酸化炭素のことですが、心の問題の側面を考えた時には、
「自分の本当の気持ちを受け入れられない、出したくない」
ということの表れです。
体に症状が現れるということは、
自分の中でその原因となっているものを認められていないということを意味します。
つまり、パニックを起こす人は、自分自身の中にある本当の感情を認めることができていません。
認めることのできない、受け入れることのできない感情がどんどんと溜まっていって、
限界まで到達し、あふれ出ようとしているのを力づくで抑え込もうとするため、
「行場がない」場所に行くとパニックが起こるのです。
「行場がない」「逃げ場がない」とは、「自分の感情の行き場がない、逃げ場がない」ということ。
何がそこにあるかを認めないのですから、もちろん行き場がありません。
溢れているのにそれでも認めない、出てくるのを止めようと全力で闘っています。
だから物理的には呼吸を止めようとしてしまうのです。
解決策はあるのに、行き場も逃げ場もあるのに、
「ない」と思い込むことで、自分を追い詰めています。
そんな感情を抱え込んだままでは、自分が壊れてしまう、と、
心の奥にいる自分はわかっています。
だから「このままでは死んでしまう」と感じるようになるわけです。
パニックの人は、苦しいこと、行動ができないことそのものを問題だと主張しますが、
それは本当の問題ではありません。
でも、「それが問題だ」と言い続ける限り、
「認められない感情がある」というところを見ないで済むので、そこから動こうとはしません。
本当は「動きたくない」わけです。
でも、実は何が問題なのか、
自分で自分をがんじがらめにしていた感情が何なのかということに気づくことができれば、
パニックは改善されます。
話をしている間に「息苦しさが治まった」というクライアントも少なくありません。
見つめていくには勇気が必要ですが、
「本当は自分はこういうことにストレスを感じていたのだ」とわかるだけで、
「苦しさ」は随分と楽になります。
その感情を受け入れ、吐きだすことができるようになるので、物理的にも呼吸が楽になってくるのです。
もちろん、ヒーリングもホメオパシーも助けになりますが、
解決していくためには「本当の問題が何なのか」に気づいてもらうことが大事です。
問題点がずれていれば、当然ながらセラピーを受けたところで的外れな結果になってしまうからです。
それを見たくないからこそ、「パニック」「電車に乗れない」など、
起きていることそのものが問題であると訴え続ける人も少なくありません。
つまり、自分の気持ちに正直にならない限り、パニックは改善されないのです。
もし色々なカウンセリングやセラピーをやっても良くならない、という場合には、
「今までは見つめることのできなかった部分に原因があるのではないか」という視点が必要です。
たとえ呼吸やパニックそのものが改善されたとしても、その代わりに別の場所に病気を作り出した、
なんていうことにならないためにも、
最終的にはその部分を癒していくことが重要であることを知っていただきたいと思います。
(2015年2月初稿)