自分の問題を子どもに引き継がせないために読んでおくべき本
本のご紹介です。
色々な悩みのご相談を受けている中で感じている事。
それは、
幼少期にどんな育てられ方をしたか、
何を植え付けられたか、
ということが、
私たちの人生にいかに大きな影響を持つか、
ということです。
これは表面的な育児方法の話ではありません。
私が伝えたいのは、
親になった人が持ち続けている潜在意識下のストレスやコンプレックス、考え方などを、
育児の中で自覚なく子どもに降りそそいでしまう、
降り注がれた子どもは自然と受け継いでしまい、
やがては子ども自身の大きな問題として抱えてしまう、
という現象です。
誰もが完璧ではないし、
「親」という「職業」も、
子どもが生まれた時に初めて始まるわけですから、
うまく行かないことも失敗も、もちろんあります。
それは当然なのですが、
自分自身の内側にどんな問題を抱えているのかについての自覚がないと、そのベースとなるものを無意識に与えてしまうのです。
たとえ
「子どもには自分のような想いはさせたくない」
「幸せになってほしい」
と思っていたとしても、です。
自分自身が幸せではなかったり、
育ってきた中での色んな不安や不満足を抱えたまま、
そこに対して解決ができていない場合、
無意識のうちに子どもに対して歪んだ対応をしてしまいます。
それによって親子関係においてどのようなことが起き、
子どもがどんな状態になるか、
ということを書かれているのが、
これからご紹介する本です。
(1)『なぜ、「白雪姫」は毒リンゴを食べたのか』
新潮社
(2)『なぜ母親は息子を「ダメ男」にしてしまうのか』
講談社α新書
今回はまずこの2つをご紹介します。
これらの著者である岩月謙司さんは、
長年に渡り行動生理学や人間行動学を研究されている方です。
特に育児において母親や父親の心理面が子どもにどのように影響を与えるかについて、
多数の著者があります。
(1)は、母親と娘の関係性を書いています。
(2)は、母親と息子の関係性を書いています。
残念なことに、(1)は絶版になっています。
中古では手に入るようです。
図書館でも借りられるので、ぜひ手に取ってください。
母子関係についての本ですが、父親は関係ないということではありません。
岩月さんは、香川大学で教鞭を取られていたこともあり、
この本に書かれているような内容を大学の授業でも行っていたことがあるそうです。
毎年、授業を受けに来た学生の何パーセントかは、途中でいなくなる。
でも、次の年にもう一度戻ってくる学生がその中から必ずいたと書かれています。
真実を突き付けられて最初は受け入れられずに逃げてしまったけれども、一年かけて色々なことに気づき、改めて学ばなければと思って授業に戻ってくる、
ということだったのだと思います。
私たちは、「本当のところ」を突きつけられると、
どうしたらよいかわからず、受け入れられずに否定したり逃げたりしてしまう傾向があります。
特に自分がずっと目をそらしてきたことであればなおさらです。
でも、
自分が親となって育児をしているのであれば、
育児にできる限りの責任を負わなければなりません。
それが「親になった」ということのはずですし、
子どもの成長として最終的に求めるものは、
学歴でもスポーツで長けることでもなく、
「心の健康」をしっかりと育てることのはずです。
ところが、
殆どの人は、親になる前に自分の心の状態を見直したり、
心を健康に育てるためにどのように子どもに接するべきかということを学びません。
結果としてどのようなものが自分から子どもへと引き継がれるかの自覚がないのです。
簡単に言えば、「我が子に嫉妬心」を抱きます。
嫉妬を嫉妬と認められないが故に、「しつけ」「親からのアドバイス」と称した歪んだ言動やマインドコントロールをしてしまう。
その結果、子どもの意識が歪んで育ってしまい、
自己肯定感が低い子になり、幸せ恐怖症になってしまいます。
自分が本当にやりたいことを選択できない子に育ってしまいます。
結婚したいけどできない、
恋人もできない、
という人が増えているのも、
このような親からの呪縛が要因であると書かれています。
「我が子に嫉妬するだなんて、そんなことあるはずがないのでは」
と思うでしょうか?
そうに思いたいのだとしたら、既にそこには何かある、ということです。
しつけや「贅沢だ」として子どもに行動を制限することが過剰だったり、
すぐに「甘やかしだ」「過保護だ」と言ったりする場合も、
本当は親が子どもに嫉妬していることからきている可能性があるのです。
岩月さんの別の著書には、
父親が子どもに嫉妬をして、
母親が子どもの世話を焼いているのを見ると無性に腹が立ってきて、
「過保護だ!」と言いたくなる、
というケースも紹介しています。
自分の行動はどうなのかをきちんと見極めるためにも、
ぜひこの本を読んで、自分か育つ中での体験を振り返り、
親になってからこういうことを子どもにしていないかどうかを検証してみることをお勧めします。
私たちは誰でも、
誰かから育児をされた経緯があります。
両親なり、
祖父母なり、
身近な大人も含め、
何らかの形で「育ててもらった」人から多くの影響を受けて育ってきているのです。
その影響は深層心理の奥にしみこんでいます。
だからこそ、私たちは、
「関わる子どもに対して何ができるか、
何をしてはいけないのか」
を、よく考えないといけないのです。
「自分を振り返る」という点において、
女性ならば娘バージョン(1)
男性ならば息子バージョン(2)
を一度は読んで頂きたいと思います。
そして、今育児をされているのであれば、
娘を育てているなら(1)
息子を育てているなら(2)
を読んで、自分の行動を検証し、これからの育児の参考にしてください。
私たち自身の影響は、私たちの親から受け継がれたものです。
でも、親はまたその親から受け継がれたものを子どもである私たちに降りそそいだだけなので、
親を責めても仕方ありません。
この本に書いてあるような問題は、
そうやって面々と受け継がれてきたものなのです。
でも、この先(自分の子どもの代)に引き継がせたくないならば、
私たちは自分の代でこの呪縛を断ち切らなければなりません。
子どもに健やかに幸せに、自分に自信を持って生きて欲しいならば、
親として知らなければならないことだと感じています。
自分がどのようなものを刷り込まれてきたのかを理解することで、
今抱えている問題や、
何故自分の人生はこうなのか、ということの大きなヒントを得られます。
岩月さんは他にもとても良い本を書かれていますので、
今回はあと2冊、ご紹介しておきます。
(3)『「子どもを愛する力」をつける心のレッスン』
講談社
(4)『―新装版― ずっと彼氏がいないあなたへ』
WAVE出版
(3)は育児真っ最中の方々にはとても参考になる本です。
ただこちらも絶版になっていますので、中古か図書館で手に入れてください。
(4)は、タイトル通り、
彼氏ができない、あるいは結婚したいのにできないで悩んでいる人に、
深層心理としてはどのような問題が潜んでいるか、ということが書かれています。
どうすればよいのかという実践面のアドバイスも書いてありますので、
「パートナーが欲しい」ということで悩んでいる方や、
そういうお子さんを持ちの方は理解を深められると思います。
どの現象もそうですが、現象自体は結果として今起きているだけのものなので、
それが解決すればよいという問題ではないのです。
ただ結婚すればいい、彼氏ができればいい、というものでもないし、
それは子どもの問題でも(不登校でも、いじめでも)同じです。
何故その現象に至ったのか、その根本を見つめましょう。
今日ご紹介した本は、
日々、多くのクライアントさんにお勧めしている本です。
絶版になっているものがあるので本当に残念ですが、
このブログを読みに来るような方は、
なにかしらこのようなことに興味がある方だと思いますので、
ぜひ読んでいただきたいと思います。